流浪の歯科技工士・王譯平・・・老馬之智

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zoom RSS 私が行っている臨床実習生のためのラボ内研修(上)

<<   作成日時 : 2015/04/13 07:45   >>

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中国における歯科技工士のための教育期間は、大学本科で4年間、専門大学で3年間、中卒後に入学できる職業学校でも3年間となっています。
1、2年生の期間は、学校で基礎的な理論の教育と実習による指導が行われますが、3年生になると、実習生としてラボで10ヶ月間の臨床実習に携わらなければならないことになっています。

私が勤務していますLラボにも3月になると実習生がやってきました。
「大連医科大学本科の口腔修復工芸科」から10名、職業学校のひとつである「大連市房地産学校口腔修復工芸科」から10名、合計20名の実習生がLラボで臨床実習を行うことになりました。
ちなみに、中国では歯科技工士科とはいわず、口腔修復工芸科といわれます。
今年の実習生は最年少で17歳、最高齢で27歳だとのことです。

実習生が来ますと、Lラボではまず石膏による歯形彫刻をさせて実習生のおおよその能力を把握します。
また、2〜3日間、Lラボの社歴や技術内容、および、作業のシステムなどについて人事や教育担当者が講義を行っているようです。
その後、実習生は2〜3人が一組となって、2〜3日間、ひとつの技術部門で技術の概略を学びます。
そのようにしながら、1ヶ月の間に8〜10部門の仕事内容のすべてを見て回ります。
それが終わると、実習生はそれぞれの能力に適したと思われる部門に配置され、その日から臨床現場の一員として加わることになります。

ところが、今年は少し事情が変わりました。
人事と教育担当者から私に「咬合理論に関して実習生に1〜2時間の講義をして欲しい」との依頼がきました。
私は即座に断りました。
咬合を教える場合に、例えば、歯科技工士が知っておかなければならない単語である“中心咬合位、中心位、前方顆路角、側方顆路角、イミディエートサイドシフト、切歯路角、前歯誘導、犬歯ガイド”など専門用語を並べ立て、それについて解説してみても何の役にもたちません。
頭の中では分かったつもりでも、指先でそれを表現できなければ、歯科技工作業で生かすことはできないからです。

そこで、私の機能的ワックスアップ法を用いた少人数による咬合教育法を提案しました。
これまでの私の経験からですが、咬合を教えるうえでもっとも効果的で近道は、咬合器を使用させながら、臨床に即応可能なドロップオンテクニックによる機能的ワックスアップをさせることだと思っているからです。
咬合器を操作しながら機能的ワックスアップをしていると、その過程で必ず色々な疑問が生じます。
自分で感じた疑問を自分で解決できたとき、そのときにはじめて、知識や技術が自分のものになります。

Lラボにとっても、人事と教育担当者にとっても初めての試みですが、ぜひお願いしたいとのことで引き受けることにしました。
実習生5人を一組とし、1日4時間で6日間、合計24時間を使った研修です。
以下に、その研修結果をご報告します。

実習生の研修風景です。
私の助手の侯晓雯(ホウ・シャオウェン)が補佐し、マンツーマンの教育法を行っています。

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研修にはLラボで臨床ケースに用いているギルバッハ咬合器を使用しています。

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研修に参加している実習生5人(学生A〜E)の歯形彫刻です。
2p平方の石膏角棒を用いて、2時間かけて彫刻した結果だとのことです。
この5名は実習生20名の中でも良い方だそうです。
その技術レベルの低さに正直驚きました。
日本の歯科技工専門学校であれば、卒業間近の学生がこのようなレベルの低い歯形彫刻をするとは思えませんので・・・。

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私の個人的な考えとして、石膏による歯型彫刻をあまり重視していませんし、石膏による歯形彫刻を用いた教育も一切いたしません。
また私自身、歯科技工専門学校を卒業して約45年になりますが、卒業後、彫刻刀を用いた石膏による歯形彫刻を一度も行ったことがありません。
対合歯も隣接歯もなく、歯周組織もなく、下顎の動きもわからない状態で、歯の形態をどんなに上手に彫刻できたとしても意味がないからです。
また、理論が伴わない歯の形態は口腔内で機能するとは思えませんし、臨床では、多くの応用力が必要になりますので、理論が伴わない職人わざでは対処できないことがしばしば生じるからです。


とはいえ、中国で教える立場にいる者は、自分の技術を彼らの目の前で実際に見せて証明する必要がしばしば生じます。
それができなければ、彼らの信用を得ることもできません。
石膏による歯形彫刻についても、その技術を見たいとしいられましたので、しかたなく彫刻をして見せることになりました。
但し、私の場合は彫刻刀を用いるのではなく、技工用エンジンと研削用バーを使って削り出す方法で行うことにしました。
また、溝や細かな部分はワックスアップ用のインスツルメントやデザインナイフなどを使用しています。
日本には歯形彫刻の上手な方々が多いことも知っていますので、その方々が見られると不十分な点ばかりだと思いますが、片目をつぶって見ていただければと思います。
以下、2p平方の石膏角棒を使用した私の歯形彫刻です。
3週間ほど前に、制限時間1時間で仕上げて実習生に見せたものです。

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