流浪の歯科技工士・王譯平・・・老馬之智

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zoom RSS 中国のニセ札とニセのメロン

<<   作成日時 : 2015/10/11 08:17   >>

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2週間ほど前のことになりますが、中国南部の広東省で、中国史上最大のニセ札製造グループが摘発されたことをニュースで知りました。
押収された紙幣は100元札で2億1千万元(約39億8千万円)分とのことです。
この2億1千万元分の紙幣を積重ねると、なんと66階建てのビルの高さになるそうですから、その量の多さが想像できます。
中国のスーパーマーケットで買い物をして、レジで100元札を出すと必ずレジの担当者はその紙幣を指でこすり、透かし絵を見ながらニセ札でないか確かめます。
それほど中国では100元札の偽物が出回っているということなのでしょう。

実は、私も100元札(約1,900円)の偽物を持っています。

上の紙幣が偽物で、下が本物です。
見た目や紙質の手触り、透かし絵などを比べても、私にはまったく見分けがつきませんでした。
但し、裏面をコピーすると明確な違いがでることがわかりました。

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これは本物です。
裏面には銀色に輝く線の部分があります(白い矢印)。
この線はそれぞれの紙幣で印刷位置が異なっています。
偽物も見た目は変わりありません。

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本物の裏面をコピーしたものです。
銀色の線の部分に100という数字が明確に出ます。

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これが偽物です。
紙幣にある銀色の線の部分が白くなり、100という数字も明確ではありません(黒矢印部分)。

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このニセ100元札は私の助手をしていた侯晓雯(ホウ・シャオウェン)がくれたものです。
これまで偽札に出会うことはありませんでしたので、本物と交換して欲しいと100元札を渡そうとしたのですが、偽札はいらないものだからと、彼女はどうしても受け取りませんでした。
その際、彼女はニセ100元札を掴まされたときのことを私に話してくれました。

三か月ほど前になりますが、家庭に不幸が起こったことを母親の電話で知ったために、彼女は取る物も取りあえずにラボを早退したことがあります。
その帰る途中、白タク(中国では“黒車”と言われています)を拾ったのだそうです。

ラボの付近ではタクシーが通ることはほとんどなく、そのため、急ぐ場合には、多くの人たちが白タクを利用しています。
私もラボまでの通勤には、ほとんど毎日、料金が安い小型電動三輪車による白タクを利用しています。
ちなみに、自宅からラボまでは7〜8分の距離ですが、料金は5元(約95円)です。
現在の日本では白タクという言葉そのものが死語になっているかもしれませんが、白タクとは営業許可を受けずに、自家用車を使ってタクシー営業している車のことです。

彼女がその白タクの運転手に料金10元を払おうとしたところ小銭がなく、100元札を渡したそうです。
彼女は白タクのなかでは悲しみでうつむいて泣き続けていました。
顔を上げてお釣りの90元を受け取ろうとしたところ、運転手は「この100元札はニセ札だ」と言い出したそうです。
「銀行から昨日引き出したばかりの100元札なのでそのようなことはないはずです」と言ったそうですが、「ニセ札だから受け取れない」と100元札は返されたそうです。
運転手は、「お金がないのであれば仕方ないので、払わなくてよいから」と、そのまま走り去ったそうです。
おそらく、彼女がうつむいて泣いているうちにニセ札とすり替えられたものと思われます。
中国では、騙されるほうも悪いという風潮がありますので、騙したほうも罪の意識は薄いのかもしれません。

騙すつもりではなく、自分の見栄によるものかもしれませんが、日本人歯科技工士のM氏が中国で行われた歯科器材会社の研修会用広告に自分の肩書を教授と書かれたことがあります。
中国における簡易ブログといわれる微博“で私もその広告を目にしました。
本人の写真付きで、その下に学歴や経歴などが長々と書かれていました。
通訳として同行した中国人のL君は、日本の歯科技工専門学校を卒業したばかりで臨床経験がないにもかかわらず、広告上の肩書はLラボ義歯部の責任者となっていました。
M氏が個人的に引き受けられた研修会とはいえ、二人ともLラボに関係のある人たちだっただけに社長も黙認できなかったのでしょう、その歯科器材会社に対し、二人に関する記載内容の訂正を求めました。

広告の内容は訂正され、この件はこれで落着して大きな問題へは発展しなかったのですが、その数週間後にまたしても、私の知人をとおしてM氏に関する写真が“微信”(スマホ用メッセージアプリ)で送られてきました。
中国南部の広東省にある職業訓練学校において、M氏が口腔義歯製作専業教授という肩書で招へいされたという証明写真です。

私の知人から“微信”で送られてきたM氏宛て招へい書の写真です(名前は一部ぼかしています)。

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おそらくM氏が“微信”で仲間の方たちに自分の近況と一緒に送信され、それが回りまわってLラボの社長や私も知ることになったのでしょう。

その学校は、高校卒業者だけでなく中学卒業者でも入学できる職業訓練学校です。
自動車整備工や調理師など10数種類の職業技術を訓練している学校です。
歯科技工士を養成する科は定員30名で昨年開設されたばかりとのことです。
一般に、そのような中国の職業訓練学校では、歯科技工士科の専任教員は2〜3名にすぎず、他は外来の非常勤講師(歯科医師や大学関係者など)で構成されています。
大学でもないそのような職業訓練学校において、教授というポジションなどあるはずはありません。
私の推量ですが、M氏本人からの要望のため、担当者の方が便宜上、招へい書に教授という肩書を書き込んだだけのことなのでしょう。
自分を大きく見せたいと思われたのかもしれませんが、中国の人たちを甘く見てはいけません。
中国の人たちは自国の事情には詳しいわけですから、すぐに見透かされてしまいます。
そうまでしなくとも、日本の歯科技工士という肩書は中国で立派に通用し、中国で認められている肩書なのですから・・・。

前述の件が大きな理由となったわけではありませんが、Lラボでは、1年間の契約完了を機にM氏との契約を解除し、再契約を行いませんでした。

15年ほど前に日本で見た日めくりの暦“相田みつをのこころの暦”に書かれた格言を思い出しました。

“トマトがトマトであるかぎり、それはほんもの、トマトをメロンに見せようとするから、にせものとなる”


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コメント(3件)

内 容 ニックネーム/日時
ご無沙汰しております。
しかし情けない悲しい話ですね。「無冠の帝王」のほうがカッコいいですけどね。ご隠居が「日本の歯科技工士の実力」を中国で見せつけているのにね、残念です。
としじい
2015/10/12 14:58
としじいさんへ

コメントありがとうございました。
こちらこそ大変ご無沙汰いたしております。
今年初め頃にW精密の技術顧問をされている方から下記の内容のメールをいただいたことがあります。

>日本歯科技工学会(昨年で36回?)があります。ここで発表や講演する技工士に演者紹介(もちろん自分で申告)内容で経歴・学歴欄にウソが時々見られ、ガマンならない自分は文書で学会に異議申し立てをしました。これは学会を愚弄するものです。 残念ながら我々歯科技工業界には少なからずこのタイプが居るのです。そして誰も注意出来ないのです。

生まれた年代が異なるため思考回路も違うのかなとも思いましたが、そうでもなく、やはりその人の人間性によるもののようですね。
王譯平
2015/10/12 16:01
私の祖母は立ちジョンベンをする幼少の私に「お天道様はどこでも見ているから、そんな恥ずかしいことはしないの」と、諭しました。お天道様に対して、神様に対して、隣人に対して、自分に対しても「そんな恥ずかしいことはしないの」と、諭しました。ことあるごとに「そんな恥ずかしいことはしないの」と、諭しました。祖母は、威張ることも、自慢することも、他者の物を欲することも、愚痴ることも、泣くことも、恥だと私に教えました。その祖母は明治生まれの、文盲でした。
いまの日本人は学問はあるかも知れませんが、日本文化を無くしたようです。「そんな恥ずかしいことはしないの」という「恥の文化」を忘れたようです。こんな事を言うの私も時代錯誤でしょうかね。
としじい
2015/10/12 22:40

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