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zoom RSS 十数人の分業によるインプラントの1症例

<<   作成日時 : 2016/04/04 02:25   >>

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中国のラボでは、歯科技工物の全てが分業によって製作されています。
インプラントを含む咬合再構築の症例などであれば、日本では経験豊かな歯科技工士の人たちが、その専門知識と経験を駆使しながら、高精度の、また審美的な上部構造の製作に携わっておられることと思います。
私が勤務している中国のLラボでは、他の中国のラボと同様に分業によって歯科技工物が製作され、本稿でご紹介するインプラントを含む咬合再構築のケースにおいては、十数人もの担当者が関わっています。
そのなかには、専門大学の実習生もいれば、学徒としてラボ内で歯科技工技術を学んだ12〜13年の技工経験者もいます。
この症例は、そのような20歳から30歳代前半の若い人たちによって製作されたインプラントを含んだひとつの製作例です。

私は小さな楽団でタクトを振る指揮者のような役目です。
タクトを振り間違えて不協和音を奏でている部分も多々あるかと思いますが、現在におけるLラボの技術レベルをご覧いただき、今後ともご指導いただければと思います。

図1 インプラントはノーベルアクティブ(Nobel Active)が使用されています。

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図2 指示書には、チタン合金によるフレームに歯冠用硬質レジンで前装する上部構造の製作が指示されています(個人名にはモザイクをかけています)。

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図3 咬合器に作業用模型を装着した後、歯冠用即時重合レジンとワックスによって最終的な形態を模した上部構造を作製し、設計のための参考とします。

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図4 正中線や咬合平面、歯冠長や歯肉部分の形態などを歯科医師の指示に従い設定します。

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図5 咬合面も歯冠用硬質レジンで製作されますので、口腔内に装着後の摩耗による咬合高径の変化を防ぐために、中心咬合位で接触する部分の一部をメタルで設定(赤い点の部分)しています。
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図6 最終形態を作製した後、歯冠用硬質レジンで前装する部分を削除し、上部構造フレームの原型を作ります。
赤い点は中心咬合位での咬合接触点、緑の線は前方や側方などの偏心運動時におけるガイドとなる部分です。

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図7 粘膜接触部は、将来、リベースが行われる可能性があるため、修正のし易さを考慮して歯肉色の硬質レジンで前装する設計となっています。
即時重合レジンとワックスで製作した上部構造のフレームは、その後、CAD/CAMの技術を利用し、チタン合金によって製作されます。

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図8〜11 即時重合レジンとワックスによる上部構造のフレームは、CADのダブルスキャン方式でスキャニングされ、最終設計が行われます。
その後、そのデータはCAMに送られ、CAMの大型切削加工機でチタン合金板に切削加工されます。
これらの細かいコンピューター上の作業は専任者に任せています。
CAD/CAM作業の経験が少なく不慣れな歯科技工士の私にはとても太刀打ちできません。

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図12、13 大型切削加工機で切削加工されたチタン合金による上部構造フレームです。

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図14,15 サポート部がカットされ、取り出された上部構造フレームです。

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図16〜18 作業用模型上の適合状態です。
白い矢印の部分を見ていただくとその精度がわかります。
従来からある鋳造法を用いて、ろう着、溶接などを併用した技術では、このような高精度の適合状態を得ることは容易ではありません。
CAD/CAMを併用した技術は歯科技工にとって不可欠な存在になっています。

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図19,20 歯冠用硬質レジンに必要な機械的維持は、手作業によって築盛部の全表面に刻みを入れます。

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図21,22 ワックアップ後に採得したシリコーンコアーをもとに、歯冠用硬質レジン前装のためのスペースが確保されているかを確かめます。
不足部分があれば、手作業でメタルフレームを修正します。

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図23 歯冠用硬質レジンがメタルフレームに築盛されたあと、形態修正がおこなわれます。
担当した30歳の田涛(ティエン・タオ)です。
彼は16才のときにLラボに学徒(ラボ内研修生)として入社し、形態修正の部門でその技術一筋で働いてきたそうです。
専門学校などでの学習経験はありません。

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図24 咬合調整後の状態です。
赤い点は中心咬合位における咬合接触点、緑色の線は偏心運動時の切歯誘導部です。

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図25 完成した上部構造です。

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図26 作業用模型上の前方観です。
前歯部のアクセスホールは、口腔内装着時に歯冠と同じ色調で製作された硬質レジンラミネートで閉鎖されます。

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図27 作業用模型上の咬合面観です。

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図28、29 上部構造の唇側面観と粘膜面観です。

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患者さんが他国へ飛行機で戻られるために、その出発前に完成して欲しいという歯科医師からの要望がありました。
そのため、作業の実日数は10日間となって急ぎの作業となりましたが、作業に携わった者たちは皆、若いだけあって疲れも見せずにやり遂げてくれました。

口腔内に装着後の状況です。

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図30 Lラボ(北京乐乐嘉医学技術有限公司)の本社です。
乐乐嘉はララジャという発音です。

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Lラボには専門大学などの実習学生が約70名います。
その彼らを含んで約250名が勤務しています。
本症例のような要求度が高く、高度の技術を要する症例が増えてきましたので、そのような症例に対応できる特殊精品部が間もなく新たに開設される予定になっています。
そのため、男女や国籍を問わず、日本の歯科技工士免許を持った方を数名求めていますので、興味がおありの方はご検討いただければと思っています。

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