流浪の歯科技工士・王譯平・・・老馬之智

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zoom RSS 実習生のために行っているワックス・アップの基礎訓練

<<   作成日時 : 2016/09/20 22:12   >>

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中国における歯科技工士の養成と教育は、職業訓練学校や医療専門大学、あるいは医科大学本科などの口腔修復工芸科で行われています。
但し、日本の歯科技工専門学校で行われているような歯科技工技術の実技指導や実習が行われているわけではありません。
また、歯科技工に必要な諸設備を備えている学校はほとんどないようです。
そのため医療専門大学など学校によっては、ワックス・アップや石膏棒を用いた歯形彫刻の経験さえないという学生たちが沢山います。

医療専門大学から来た実習生の話によりますと、学校における2年間の授業は教科書を用いた勉強が主で、歯科医師が学ぶような人体に関する理論が多くを占めていたと言います。
今年の5月に私が講義を依頼された大連市にある職業訓練学校のように、歯科技工設備を必要としない実習、例えば石膏棒を用いた歯形彫刻やワックス・アップ、総義歯の排列などの実習を行っている学校もありますが、その数は少ないようです。
中国では、歯科技工の実技に関しては、ラボにおける実習で学ぶものとなっているようです。

前回の記事にも書きましたが、Lラボの研修センターで研修を受けることができる実習生はLラボの学校担当者による試験によって選ばれます。
http://xiaolong1017.at.webry.info/201609/article_1.html
最終決定の人選には私も関わりますが、実習生の出身校の教育方法にも違いがありますので、私は主に筆記試験と面接による人物評価を重要視し、石膏棒を用いた歯形彫刻は参考程度としています。

Lラボでも数年前から毎年2回、歯形彫刻の社内コンテストを行ってその技術を競い、百数十名の参加者の中から優秀な上位数名が創立記念日に表彰され、奨励金を授与されるという催しがあります。
石膏棒を用いた歯形彫刻は、技工に関するひとつの技術を評価するうえでの参考にはなりますが、私が行うLラボの研修センターにおける研修では石膏棒を用いた歯形彫刻はいっさい行っていません。
彫刻刀を用いた歯形彫刻の技術は、実際の臨床現場ではほとんど役にたっていないように思うからです。
日本の歯科技工専門学校やトレーニングセンターでは石膏棒を用いた歯形彫刻は必須科目となっているようですので反論があるのは承知していますが、私自身は石膏棒を用いた歯形彫刻の訓練効果について評価していません。

将来、CAD/CAMのシステムが発達すればするほど、ワックス・アップによる歯冠の回復技術はますます重要になると私は考えています。
特に、臼歯部の咬合を回復する症例などでは、咬合器上でワックス・アップによって正確な形態が再現されていれば、ダブル・スキャンという方法でほとんど修正する必要がない状態に復元されるからです。

Lラボの研修センターで行っているワックス・アップの基礎訓練では、まず、ワックスに慣れさせることと天然歯の形態を観察できる能力を養うことを目的に訓練を行っています。
訓練用模型としては、天然歯を石膏で復元して見本とし、その片方に支台歯形成された歯型を並べたものを製作し、使用しています。
Lラボの研修センターで研修を受けている24名の実習生のほとんどは、ワックス・アップの経験がありませんし、天然歯の形態についての知識も教科書で学んだ程度です。
そのため、指導にあったてはワックス・アップをするうえでの明確な基準や数値を示しながら天然歯の特徴を理解させる必要があります。

以下の写真のワックス・アップすべては、Lラボの研修センターで研修を受けている実習生24名(17歳〜23歳)が製作したもので、研修を開始してから2週間後に成績評価のために提出させた彼らの作品集です。
このワックス・アップの基礎訓練が終了した後、咬合器に装着された模型上でドロップオン・テクニックによるワックス・アップをしながら、咬合の基礎理論を学ぶための実習へ進みます。

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上顎中切歯の訓練用模型と実習生のワックス・アップです。

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実習生24名の作品です。

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上顎犬歯の訓練用模型と実習生のワックス・アップです。

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実習生24名の作品です。

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上顎第一大臼歯の訓練用模型と実習生のワックス・アップです。

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実習生24名の作品です。

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Lラボの試験時における歯形彫刻と研修2週間後のワックス・アップ(17歳の実習生、吴熈章、男性)です。

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Lラボの試験時における歯形彫刻と研修2週間後のワックス・アップ(19歳の実習生、郑妍妍、女性)です。

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Lラボの試験時における歯形彫刻と研修2週間後のワックス・アップ(22歳の実習生、李靖蓉亚、女性)です。

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Lラボの試験時における歯形彫刻と研修2週間後のワックス・アップ(23歳の実習生、王婷、女性)です。

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私は午後5時半には研修センターから帰宅しますが、実習生たちは自分の時間を使い、夜遅くまで練習しているそうです。
彼女たち実習生が卒業して歯科技工士となり、将来、中国の歯科技工界を支えるような有能な人材に育ってくれることを願いながら、私が長年培ってきた歯科技工技術を教え、伝えているところです。

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コメント(2件)

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こんばんは!王先生。このネタつつくと日本の保守的歯科技工士達がまた騒ぎますよ。なぜならこの石膏彫刻を基本として彼らのアナログの歯冠修復技工が成り立っているからです。デジタル化が進むにつれ、すでに石膏彫刻は日本で衰退していますが、デジタルしかん修復技工の基本は人工歯をライブラリーから選択すること(デンチャーの配列)であり、そのハイブリッド技工は先生の言われた通りです。それが本質でありすべてですので、現在オーストラリアでお年を召したラボのオーナーの方々に<あなた方のアナログ技工の時代は終わったのだから若い人たちに素直に路を譲りなさい、さもないとその業界自体が衰退してしまいます。なぜなら若い人達が老人目線のこの業界を魅力的に思わず、若い人材がこの業界に入って来ないし、来てもすぐ辞めるのです。>と論理的に諭していますが、結構<俺もそうだと思うんだ。あとは若いのに任せるわ。俺デジタル知らないし。>と言ってくれる素直なオージーたちに会うとほっとします。それでも理解が不能な方には丁重に引退勧告もしています(本気)。
ですので、先生が今やられている事は国を超えて非常に価値のある事です。
Hiro Takada
2016/09/21 19:59
Hiro Takadaさまへ
お励ましいただきありがとうございます。
私も75歳の老人のひとりですが、中国の若い人達に歯科技工の面白さ、仕事の楽しさを知っていただくよう微力ながら頑張っています。
CAD/CAMでできる技術が進歩し、口腔内スキャナーの性能が向上してもアナログで行う基本的な技術が不要ということにはならないだろうと思います。
そこに私たち歯科技工士の生きる道があるように思っています。
王譯平
2016/09/22 08:24

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