流浪の歯科技工士・王譯平・・・老馬之智

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zoom RSS 実習生がワックス・アップしたダブル・スキャン・テクニックによるジルコニア・ブリッジ

<<   作成日時 : 2016/10/09 22:12   >>

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ドイツ・カボ社のCAD/CAM装置“エベレスト”を前にして、ダブル・スキャンの方法に頭を悩ましながらテストを繰り返していたときのことが、昨日のことのように思い出されます。
2006年の暮れから、その翌年にかけてのことでした。
その頃、中国への海外委託技工が問題となり、2007年の6月には、歯科技工士の有志81名によって訴訟が行われることになりました。
私の同志ともいえる親しい友人の一人も、そのメンバーに加わっていたそうですが、当時は自分のことで精いっぱいだった為、知る由もありませんでした。
当時、ドイツ・カボ社のホームページを検索しましたところ、一千数百万円もするCAD/CAM装置“エベレスト”が、中国では日本よりもはるかに多く使用されているのを知りました。
日本での使用数は、まだ10台にも満たない頃です。
もしかしたら、CAD/CAMの技術に関しては、中国のラボのほうが進んでいるのかもしれないと漠然と感じたものです。
その1年後、私は新たな道を求めて中国へ旅たちました。
その後、日本へ戻ることもなく、中国のラボを渡り歩きながら現在に至っています。

図1、2 慣れない手つきでダブル・スキャンの作業をしていた2007年当時の記録写真です。

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現在は、LラボのCAD/CAM担当者にすべてまかせていますので、自分でCAD/CAMを操作することはありません。
現在のCAD/CAMソフトは当時とは比較にならないほど進歩しているようです。
私には手も足も出ません。

中国では、クラウン・ブリッジの材料はジルコニアとコバルトクロム合金が多くの比率を占め、クラウン・ブリッジの約80%がポーセレンによる修復物となっています。
特に、臼歯部に関しては、近年、フルジルコニアによるものが増えてきているようです。
ご存じのように、CAD/CAMによって作られるジルコニアのクラウンの咬合調整や形態修正には水冷式の技工用エヤタービンも必要で、また、非常に多くの作業時間を要します。
また、その割には、満足な結果が得られることは少ないように思われます。
そのため、要求度が高い症例や咬合再構築などの症例には、咬合器に装着された作業模型上でワックス・アップを行い、それをスキャニングする、いわゆるダブル・スキャン・テクニック法によって製作しています。

以下の写真は、実習生にワックス・アップをさせ、ダブル・スキャン・テクニック法を用いて製作したジルコニア・ブリッジです。
研修センターで学ぶ実習生の訓練と適合試験を兼ねたケースです。

図3 中国のラボでは、ひとつの症例を十数人の分業で製作するのが普通となっています。
但し、研修センターで学ぶ実習生には、分業をさせず、作業模型の製作や咬合器装着,および、半調節性咬合器の調節もすべて自分でできるように指導しています。

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図4 研修センターで学ぶ実習生の郭暁琴、22歳女性のワックス・アップです。
唇、頬側のポーセレン築盛部はカット・バックしています。
通常のワックスを用いて機能的なワックス・アップをした後、ワックスアップのバックアップ・テクニック法(QDTの1999年1月号と2月号に私が発表した方法)を用いてスキャン専用のワックスに置き換えています。

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図5 スキャニングや設計が終わった後、stl.ファイルからコピーした画像です。

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図6〜10 ダブル・スキャン・テクニックによってジルコニア・フレームができたところです。
内面の調整もまったく必要ではなく、以下のように精度が高い適合状態となっています(矢印参照)。
外形にも全く手を加えていない状態のものです。

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図11 以下のワックス・アップは、研修センターで学ぶ実習生の蒋海麗、22歳女性が担当しました。
作業模型の製作、咬合器装着も自分でしています。

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図12 彼女のワックス・アップです。
なお、ダブル・スキャン・テクニックをおこなうワックスの支台冠にはビニール・コーピングを裏装してスキャン時の位置に誤差が生じないように配慮しています。

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図13、14 スキャニングや設計が終わった後、stl.ファイルからコピーした画像です。

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図15〜19 ダブル・スキャン・テクニックによって製作された6歯連結のジルコニア・ブリッジです。
このケースも内面の調整をまったく必要とせずに、以下のような精度が高い適合状態となっています(矢印参照)。
外形にも全く手を加えていない状態のものです。

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ジルコニアによるクラウン・ブリッジの適合には切削加工機に組み込まれているCAMソフトも大きく影響するようです。
今回のこの適合試験は、最近導入された最新のCAMソフトをテストするためのものでもありました。

図20〜23 以下のテスト・ピースは、長年使用されていたドイツ製の大型切削加工機の旧CAMソフトによって削り出されたジルコニア・ブリッジです。
CADによる設計データは上記に示した精度が高いジルコニア・ブリッジと全く同じものを使用しています。
もちろん、テスト・ピースの試適に使用している作業模型も上記のものと同じです。
比較していただくとよくわかりますが、適合は非常に悪い状態になっています(矢印参照)。
使用されているCAMソフトによって異なった結果が生じることがわかります。
このような適合状態のブリッジを調整するには多くの時間が必要となり、良い結果も得られないことが目に見えています。

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日本でも、ジルコニアによるクラウンやブリッジの需要がますます多くなり、切削加工機の必要性も増すことと思われますが、切削加工機の導入に際しては、それ専用として組み込まれているCAMソフトの選択にも十分注意を払う必要があるように思われます。





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