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zoom RSS アナログ技工とCAD/CAMのコラボレーションによる大臼歯クラウンの製作

<<   作成日時 : 2018/06/03 22:29   >>

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私たち歯科技工士にとって、CAD/CAMは無くてはならないツール(工作機械)のひとつになりつつあります。
CAD/CAMでしか使用できない材料のジルコニアやガラスセラミックも日々進化しているように思われます。
しかし、CAD/CAMには、いわゆる人工頭脳が備わっている訳ではなく、歯科技工士の専門知識とのコラボレーション(共同製作)がないかぎり、CAD/CAMの判断によって自動的に動いてくれる訳ではありません。
特に、咬合に関しては、CAD/CAMのソフト内にある咬合器を使用したとしても、現在の能力は、残念ながら幼稚園児なみと言ってもよいでしょう。

例えば、対合歯との接触空隙を40μに設定し、前方運動や側方運動開始時には瞬時に80μの空隙を設定したい場合、すべての関係する歯に対し、CAD/CAMが自動的に設定してくれる訳ではありません。
けれども、そこに歯科技工士の知識と技術が加わった場合は、非常に簡単にできるのです。

その方法は、歯科技工士によるワックスクラウンやブリッジを用いたダブルスキャンによる方法です(但し、古いタイプのスキャナーではダブルスキャンによる方法ができない場合があります)。
弊社Lラボの川崎工作室で行っている方法を、現在、在籍している医療専門大学実習生10名による臨床作品を用いてご紹介したいと思います。

図1、図2
作業模型の製作は弊社Lラボ本社の石膏部で製作されますが、咬合器への装着作業は精度が要求されますので、川崎工作室では所属する歯科技工士や実習生が行います。
私が見学した中国の大きなラボや病院の技工室では、単冠の場合、咬合器に装着せずに製作されている場合が多いようです。
ジルコニアで製作したクラウンの場合、高硬度のため口腔内における咬合調整は容易ではありません。
セントリックでがたつきがない咬合器であれば、平均値咬合器で十分だと考えていますので、全てのケースをGirrbach製 Artex BN 咬合器に装着して製作しています。
装着後、12μのアルミ箔で咬合接触部のチェックを行います。


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図3
ワックスクラウンやスキャニング時の誤差を最小にするために作業模型はスプリット・キャスト方式としています。

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図4
弊社Lラボに送られてくる印象や模型の約99%には、支台歯形成や印象時の不良で歯型にアンダーカットが生じています。
スキャン時に問題を生じ、その後のクラウンの内面調整時にも手間がかかり不適合の原因となりますので、光硬化性の硬質レジンを用いてアンダーカットを修正します。
僅かなアンダーカットであれば、CADソフトで自動的に修正できますが、大きなアンダーカットは修正する必要があります。

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図5
ワックスクラウンやブリッジをスキャンする際に歯型への着脱を繰り返す作業があります。
その際、ワックスクラウンやブリッジの破折を防ぎ、かつ、位置を安定させるために、松風社のモデルシート0.2mmでワックスクラウンを補強しています。
非常に使い易く、お勧めしたい製品です。

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図6
ワックスはスキャン時の反射を防ぐことができるスキャン専用ワックスを使用しています。

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図7、図8、図9
ワックスクラウンと作業模型および歯型がスキャンされ、それをもとにクラウンや歯型の位置がCADソフトの作業模型上に設定され、最終設計が行われます。
この作業は弊社LラボのCAD/CAM部で行われます。
マージンラインの設定や接触点の追加などはCADソフトで行われますので、ワックスクラウンを製作する場合には、マージン部や接触点を精密に適合させる必要はありません。

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以下に、医療専門大学実習生(今年7月に卒業予定)10名が製作した臨床ケースをご紹介いたします。
咬合器上における咬合調整を終え、グレーズとステインを行って完成したフルジルコニアによる大臼歯クラウンの症例です。
ワックスクラウンと完成後の形態に大きな変化がないことがお分かりいただけると思います。
硬いジルコニアを削る作業がほとんどありませんので、作業時間の省力化ができます。

日本では、国家資格を得ていない技工専門学校の学生は無資格者であるため、臨床ケースの製作に従事することはできませんが、中国では教育のひとつの方法として認められています。

李媛 ♀ 21歳 大学専科学生
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王瑞 ♀ 21歳 大学専科学生
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李登珠 ♀ 20歳 大学専科学生
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韩鹤  ♀ 21歳 大学専科学生
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樊明月 ♀ 22歳 大学専科学生
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李娜 ♀ 21歳 大学専科学生
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刘敏 ♀ 21歳 大学専科学生
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吴彦 ♀ 21歳 大学専科学生
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韩鹤; ♀ 21歳 大学専科学生
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魏侨敏 ♀ 21歳 大学専科学生
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中国では、日本の社会保険に収載されているようなCAD/CAMによるコンポジットレジン・クラウンは一般に製作されていません。
また、硬質レジン前装のクラウン・ブリッジもありません。
クラウン・ブリッジの症例のほとんどはポーセレンによる修復物です。
中国のラボで製作される金属焼付ポーセレン(メタルボンド)は、一般に、色調が悪いということもあり、最近はますますジルコニアをベースにしたクラウン・ブリッジが増えています。

弊社Lラボの川崎工作室では、今年7月に医療専門大学卒業予定の実習生10名、昨年卒業して高級(3級)の歯科技工士国家資格を得た10名、一昨年卒業して私の助手をしている歯科技工士(同3級)2名の合計22名からなっています。
現在は主にジルコニアをベースとしたクラウン・ブリッジを製作していますが、月間400歯から500歯を製作しています。
彼らは午前8時出勤で午後6時には退社しています。
時間内に能率を上げ、残業をしないように指導しています。

ご参考までに、弊社Lラボのジルコニアクラウンの技工料金は、材料の品質レベル、製作技術レベル、歯科医師の要求レベルなどによって、500元(約8千5百円)から950元(約1万5千円)までの4段階に設定されているようです。
例えば、歯科医師から低い技工料金を求められた場合は、安価な中国産のジルコニアブロックを使用し、分業の流れ作業で行われる技術レベルが低いルートで製作されることになります。

最近、川崎工作室での製作依頼が増えつつあり、実習生教育の成果が徐々に表れてきているのかもしれないと思っているところです。

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