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zoom RSS 北京市からの立ち退きを強いられつつある歯科技工所

<<   作成日時 : 2018/04/24 22:49   >>

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北京市では、昨年頃から工場に対する環境保護局による検査と締め付けがますます厳しさを増しているようです。
工場とみなされている歯科技工所(ラボ)も例外ではありません。
弊社Lラボにおいても、空気を汚染するような煙や粉塵を戸外へ排出していないか、騒音をたてたり、異臭が生じるような材料を使用したりしていないか、汚水の処理に問題がないかなど、環境保護局の検査員が特殊な装置なども使用しながら厳しい検査が2〜3回行われたようです。
もし、環境保護局の基準に合っていない場合は期限を決められたうえでの改善命令を受け、さらに罰金を払わされたり、あるいは営業の一時停止を受けたり、最悪の場合は北京市の遠隔地か、あるいは他の省への移転を命じられたりします。
中国では政府の方針に逆らったり、批判めいたことを言ったりすることはできません。
仮に、遠隔地や他省への移転命令を受ければ、それに必要な費用はすべて自己負担となります。

図1. 図2.
2010年4月から約2年間の勤務経験がある北京市のMラボです。
ホームページから写真を転用させていただきました。
見てわかるように、素晴らしいCAD/CAM設備と内装です。

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実は、長年営んできた場所から新規移転され、図のように内装を終えられたのですが、その後、北京市の環境保護局の検査が入り、その移転した地域が環境保護局の基準に不適合との評価を受け、再度、他の遠隔地への移転を余儀なくされたとのことです。
二回の移転とそれに伴う内装工事などのために、日本円にして約2千万円の費用を要したとのことです。


北京市における著名なラボ4カ所を例として挙げるとすれば、約600人の従業員からなるRラボ、約300人のYラボ、約300人の弊社Lラボ、上記で述べた約200人のMラボとなります。
そのなかで、すでにYラボは北京市の東北部の遠隔地へ移転を終えているそうです。
また、上記で述べたようにMラボも環境保護局の基準に適した地域への移転を余儀なくされました。
ちなみに北京市の面積は、日本で例えれば、四国4県と東京都の面積を合わせたほどの広さとなります。
北京市内とはいえ、遠隔地への移転となれば、北京市の中心部からの距離も相当なものだと思われます。
北京市の他の2〜3のラボが、すでに北京市に隣接している他の省へ移転したとの情報もあります。

約600人の従業員からなるRラボの状況はわかりませんが、すでに環境保護局の基準に適切な対応をされているとの噂を耳にしています。
弊社Lラボは現状では問題ないそうですが、政府の方針変更次第では、1年かあるいは2年以内に移転を余儀なくされるかもしれないとのことです。
弊社Lラボの王社長にとっても頭の痛い問題ですが、将来に対しての対策を色々と模索しているようです。
このように、北京市のどのラボでも、経営者はこれまでにない苦境に直面しているといってよいでしょう。

弊社Lラボの川崎歯科技術研修センター(以下、研修センターといいます)も移転をしいられて仮の場所で待機していたのですが、やっと、本社ラボから徒歩10分程にある賃貸用ビルでの内装を終えて引越し、再出発できることになりました。

図3. 
研修センターの表札のロゴや名称には私の名字“川崎”が付けられていますが、私の名前を後世に残したいという弊社王社長の好意によるもので、私個人が経営する研修センターではありません。

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図4.
研修センターが移転した地区には、ほぼ4階建ての高さに制限された会社用のビルが数多く立ち並んでいます。
国が管理するいわゆる経済開発区のような場所で、この地区だけで約500社が事業を営んでいるといわれます。
研修センターは写真中央の賃貸用ビル4階、ワンフロアー約230平米を使用しています。

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図5.
私が設計した内装用の平面設計図です(図をクリックしていただければ拡大できます)。
この図をもとに、ほぼ正確に内装が終えられました。
まだ、全ての設備や機器が整ってはいませんが、ご参考までに、研修センター内部の状況を簡単にご紹介いたします。

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図6.図7.
玄関入り口から見た内部です。
作業室のドアーや間仕切りの壁には、透明ガラスを用いることによって見透おしを良くし、作業状況の管理もし易くしています。

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図8.
メタルやジルコニアなどによるコーピングやフレームの調整、また、ポーセレン築盛後の形態修正などを行う部屋です。
最終的には16人が作業できるようになります。

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図9.図10
ポーセレンの築盛と焼成を行う部屋です。
最終的には12人が作業できるようになります。

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図11.図12.
ポーセレン室に隣接した北側の部屋はワックス・アップ室です。
CAD/CAMによるダブルスキャン・テクニックのためのワックス・アップおよび従来の鋳造やプレス・テクニックのためのワックス・アップや埋没操作などを行います。

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但し、この研修センターでは鋳造作業やプレス作業は行わず、本社ラボにおいて行います。
ワックス焼却時に臭いや煙が大量に生じるため、それらを戸外に排出した場合、環境保護局の検査時に問題となる可能性があるからです。
そのため、メタルボンドに関しては、CAD/CAMの一方法であるEOSレーザー・シンタリング・システムによってメタル・コーピングやメタル・フレームを製作します。
また、オールセラミックスに関しては、CAD/CAMを利用するジルコニアをベースにした方法で行います。


図13.
模型製作室です。
作業模型製作と咬合器への模型装着を行います。

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図14.図15.
CAD/CAM室です。
研修センターにあるスキャナーや切削機はすでに10年以上過ぎた古いタイプであるため、主に実習用としてジルコニア・フレームを製作したり、デジタル画面での設計練習をしたりなど、実習生の練習用として用いています。
臨床ケースの場合は、本社ラボのCAD/CAM部でスキャンされたデータをメールで受け取ります。
その後、研修センターのCAD/CAM担当者がデジタル画面上で設計した後に本社ラボへデータを返送します。
その設計データをもとに、本社にある大型切削機やEOSレーザーシンタリング設備によって製作が行われることになります。

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図16.
奥の部屋は研修室ですがまだ完成されていません。
この部屋には、教師を含めて9人分の技工用机が配置されます。
ここでは大型パネル・ディスプレーを用いた講義をはじめ、ワックス・アップや埋没、形態修正や研磨など、クラウン・ブリッジ技工の基礎技術が全てできる設備が準備されています。
左のドアーの部屋は女性用の更衣室です。

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図17.図18.
川崎用のオフィスです。
臨床ケースの製作前と製作後の写真はこの部屋で撮り、記録に残します。
小型パネル・ディスプレーを用いて少人数のためのミーティングや技術的な説明および指導などもここで行います。

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思えば、昨年12月中旬に研修センターは仮の場所へ移転しました。
そこで待機しながら約4ヶ月が過ぎ、やっと完成に近づいた研修センターですが、環境保護局の基準や方針の変更があれば、研修センターも再び他の場所へ移転を余儀なくされるかもしれません。
そうなれば、今回行った研修センターの設計や内装工事などすべてが無駄になり、遠隔地や他省への移転ともなれば、辞めざるを得ないメンバーも出てくるかもしれません。
国民の生活を第一に考える日本では考えられないことでしょうが、外国ではその国のやり方や決まりに従うしかありません。
今はただ、そうならないことを願い、祈るだけです。

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