川崎研修センター4期生の研修を始めました

今年もまた、医療専門大学や職業学校の口腔修復工芸科で学ぶ学生たちが、学校の推薦を受け、あるいは個人の希望によって実習生として弊社Lラボへやってきました。
口腔修復工芸科は日本における歯科技工士科にあたります。
中国の医療専門大学や職業学校には、実習を行うための機械設備が備えられていないため、学生が最終学年の3年生になったときに、設備が整った歯科技工所で1年間(実質10ヵ月)技術を学ぶことになっています。
弊社Lラボでは、昨年、および一昨年とそれぞれ約100名の実習生を受け入れています。
今年は何名の実習生を受け入れるのか知りませんが、まず、3校から36名の学生たちが送られてきました。

図1
弊社Lラボ本社の会議室で歯形彫刻の試験を受けている36名の学生たちです。

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中国における規模が大きいラボでは、一般に、分業制で歯科技工物を製作しています。
弊社Lラボでも例外ではありません。
そのため、実習生をそれぞれの部門へ配属するうえで、その適正を知るために、学校担当者によって試験が行われます。
試験は石膏棒を用いた歯形彫刻と解剖学を主とした簡単な筆記試験です。

図2
川崎研修センターでは、研修を受けることができる学生の定員は、設備の関係上、8名以内としています。
川崎研修センターの研修生となるためには、最終的に、王社長による面接を受ける必要があります。
右写真の右端が面接をしている王社長です。

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36名の学生の中から、歯形彫刻と筆記試験の成績をもとに、とりあえず12名が選ばれて面接が行われましたが、その結果、今年は医療専門大学の学生4名、職業学校の学生3名が合格しました。

川崎研修センターは弊社Lラボの研修部門ですので、もちろん、学生たちに費用の負担は一切ありません。
川崎研修センターの学生たちには、月額千元(約1万5千円)の生活補助費と特別な社員寮の部屋が与えられ、他の学生たちよりも優遇されています。
もちろん、社員食堂における3食の食事も無料です。

但し、1年間の研修期間が終了した後、さらに4年間、川崎工作室、本社ラボ、王社長の歯科医院に併設されている技工室など、弊社Lラボ関連の部門で勤務することが義務付けられています。

図3
川崎研修センターにおける基礎実習の講義や実技は、今年からは私の助手のひとりで教育担当の蒋海麗(写真右の右端)に任せることにしました。
講義の際には、私が作成したパワーポイントの資料を使用させています。
説明が足りない部分があれば、私が補足する程度です。

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中国の医療専門大学や職業学校では実技実習が全く行われていませんので、今回、川崎研修センターで研修を受ける学生たちも、ワックス・アップはおろか、歯形彫刻の経験すらない子たちばかりです。
彼らは、歯の形は教科書で見て知っているでしょうが、その形をどのように具体的に表現すればよいかは知りません。
そのため、ドロップ・オン・テクニックによる機能的ワックス・アップ法を通して一歩、一歩と教えていくことになります。
石膏棒を用いた歯形彫刻の訓練は一切いたしません。

図4
機能的ワックス・アップ法の実習開始時に用いるサンプル模型です。
天然歯を印象して石膏で復元したものです。

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その後、難度を徐々に高めながら教材である作業模型をさらに10種類使用します。
特に、天然歯の形態を模倣しながら、咬合をどのようにつくるかを重点的に指導しながら、機能的ワックス・アップ法の訓練をします。

最終の訓練用作業模型は、上下顎を同時にワックス・アップする咬合再構築の症例です。

図5
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図6、図7
下図は、川崎研修センターを昨年修了した魏侨敏(当時21歳、女性、医療専門大学学生)の最終訓練用作品です。

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基礎訓練のワックス・アップをすべて終えるまでには約4~5カ月かかります。
その間、可撤式作業模型の製作法、Girrbach製咬合器への模型装着法や操作法、咬合をつくるうえでの理論などは教えますが、歯科技工物の具体的な製作法は一切教えません。

川崎研修センターではクラウン・ブリッジの製作法のみを教えていますが、その技術についての実習は、基礎訓練が終了した後の学生の能力に応じて、臨床ケースを用いて指導しています。

以下は、今回研修を始めた学生7名のワックス・アップです。
訓練を開始して2週間後のワックス・アップの状態です。
咬合接触点の位置もすっかり記憶できたようです。
修正を加えながら製作した数個の中から、彼らにとって最も良いと思われる作品を提出させました。

図8
王雨晴  19歳 女性 中等専門学校  作品 87.2点
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図9
常雪婷  17歳 女性 中等専門学校  作品 77.2点
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図10
关通  18歳 男性 中等専門学校  作品 63.0点
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図11
許文静  20歳 女性  専科大学  作品 74.0点
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図12
馬飛燕  22歳 女性 専科大学  作品 75.0点
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図13
羅浩  22歳 男性 専科大学  作品 75.2点
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図14
武澤宇  21歳 女性 専科大学  作品 81.4点
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学生によって出来不出来はありますが、蒋海麗をはじめとする私の助手4名、および、私を含めた5名によって評価、採点し、平均点を出しています。
学生たちは、私たちの評価を真摯に受け止めながら、それぞれの技術レベルを高める努力をしています。




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この記事へのコメント

としじい
2019年09月11日 10:06
ご隠居
お久しぶりです。
楽しそうな技工人生をお暮らしのようで幸いです。
弊社でも人が育ち私が感心するほどの補綴物が製作されています。
もはや私の教えることはないようです。
技工はインレー一つ作るのも楽しいですね。
私は技工士になって本当に良かったと思っています。
ご隠居様も同じように思っておられることでしょう。
父親の願った「立派な男。人間として立派になれ」たかは、わかりませんが、自分の人生に納得して死んでいけることは確かなようです。
お互いにもう少し技工人生を楽しみましょう(^_^)v
ではまた。
譯平
2019年09月13日 18:21
としじいさんへ
コメントありがとうございました。
としじいさんのブログはいつも拝見させていただいております。
ブログにしばしば掲載される可撤性義歯については、素人ですので、その良さを正しく判断できませんが、としじいさんの“一言”を読んで思いが同じと知ったときにはいつも“いいね”を押させてもらっています。
中国の人たちにはとても良くしていただき、助けてもらっています。
また、わたしのまわりにいる中国の若い子たちも真面目でいい子が多く、楽しく仕事をしています。
川崎研修センターと川崎工作室には、実習生のときから指導している17歳から25歳の女性が22名(男性は4名)いますが、毎年何人か結婚で退社していきます。
「いつでも戻ってきていいから」と言って送り出すのですが、微笑みをうかべながら去っていきます。
そのようなときはいつも寂しい思いもさせられますが、元気で働ける間は、私も技工人生をまだまだ楽しみたいと思っています。