三好博文先生への返信/日経新聞の記事「低待遇が招く中国の医師不足」について


毎年のことですが、今年も春節の休暇を利用して、定期健康診断のために一時帰国しました。
ところが、1月末に中国の武漢市においてコロナによる疫病の大きな問題が生じ、さらに中国全土に広がったため、北京へ帰ることができなくなりました。

その後、ご存じのとおり、日本をはじめ国際的にコロナ感染者が激増したため、3月28日以降、中国では、外国人の入国が完全に禁止されました。
そして、現在もまだ、入国禁止は解除されないままでいます。

9月からは日中間でも海外渡航が一部緩和されるというニュースもありましたが、一般人が自由に海外へ行けるというわけではないようです。

日本を出国するにしても、企業や役所などによる、出国が必須であるむねの理由証明書などが必要となるそうです。
また、搭乗前の5日以内に中国の在外公館が指定する機関でPCR検査を受けて陰性の証明書を得る必要もあります。
しかも、中国に到着後、私の場合、居住地の北京ではなく上海で2週間の隔離が必要とされるようです。

それに、中国への航空便は成田発だけで、費用は通常の約10倍が必要となり、各航空会社から1週間に1便だけの運航となっています。
例えば、ANAを利用する場合は、運航日は日曜日だけで、しかも1便だけと決まっています。

このような状況が、いつ完全に通常に戻るのか、現在のところ、全く見通しがたたないまま、日本での滞在を余儀なくされている状態です。

北京のLラボにおける川崎研修センターは2月から4月までの3ヵ月間、強制的な休業要請を受けた後、5月から再開したそうですが、コロナの影響で技工物の製作量はほとんどない状態だったようです。
しかし、私の教え子たちのメールによりますと、8月になり、かなり通常の状態に戻ってきているとのことで安心しています。

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ところで、添付いただきました9月1日付の日経新聞の記事「低待遇が招く中国の医師不足」を拝見いたしました。
先生がおたずねの日経新聞の記事に関する信ぴょう性について、私が知りえた範囲内でお答えしたいと思います。

中国の医療界全般については詳しく存じませんが、記事内容については概ね間違ってはいないのだろうと思います。
但し、下記のいくつかの記事内容については疑問に感じています。

記事には、
「中国では医師は特段に報酬が良いわけでもない。ベテランの医師でさえ平均的な年収は10万元(約150万円)強で、大都市ではとても高収入とはいえない。」
とあります。

私には、ベテラン医師の給料がこの程度とはとても考えられません。
この記事は英文を日本語に翻訳されたものとのことですので、中国元ではなく、米国ドルの間違いなのではないかとも思いました。

中国は広大であるため、地域差は当然あると思われますが、特に、大都市の現在の情況として報告されているとすれば、年収約150万円はあまりにも少ない金額だろうと思っています。

というのも、年収が10万元(約150万円)だとすれば、これは北京のラボで5年から10年間勤務した牙科技師(以下、歯科技工士)の一般的な年収程度です。
勤続10年程度の歯科技工士はこの給料でも満足せず、高い給料が期待できる、条件が良いラボを探しているという話さえ聞きます。

また、記事には、
「村の診療所で地域医療に携わる医師のうち少なくとも医学での学士号を取得しているのは、わずか0.2%だった」
とあります。

まるで、無資格者が医療を行っているように聞こえます。

中国の医師免許証には助理医師と就業医師という2種類の免許証があります。
助理医師免許証の所持者は、医療の現場で医師として働くことは許されます。
但し、自分の医院や病院を開設して管理者になることはできません。

教育機関は地域によって異なりますが、3年生の大専(専門大学)や4年制、5年制、7年制の大学医学部などがあります。
ちなみに、北京大学医学部は7年制です。

最終学年で1年間の臨床実習を終え、大学の卒業証書を得ると助理医師の試験を受ける資格ができます。
そして、試験に合格して助理医師の資格を得た後、2年間の臨床実習を終えると、就業医師になるための受験資格が生じます。

就業医師免許証の所持者は、自分の医院や病院を開設して管理者になることができます。
この就業医師の試験は非常に難しいそうです。
そのため、助理医師の資格だけしか持たない医師も多いとのことです。

もしかしたら、村の診療所で地域医療に携わる医師の人達は、助理医師の資格だけしか持たない医師が多いのかもしれません。

さらに記事には、
「中国では医師は社会的に地位が高い職業でもない」
とあります。

わたし自身は、お会いした医師の方々が、社会的に地位が高くないと感じたことは一度もありません。
もし、そのような思いを持たれている人達がいるとすれば、教育機関から来る印象なのかもしれません。

先に述べたように、地域によって異なる3年生の大専(専門大学)や4年制、5年制、7年制の大学医学部など教育レベルが異なる教育機関があるためでしょう。
例えば、地方の専門大学を卒業して助理医師になられた人などは、何らかの差別的な目線を感じられることがあるのかもしれません。

それに、記事には、
「医者の子は医者にならない」
「医者のなかで自分の子供を医者にしたい人はほとんどいない」
とあります。

まるで、SNS上で言われている日本の歯科技工士のことのようだと思いました。

私の知人はご夫婦共に歯科医師ですが、高校生であるひとり娘にも歯科医師になって欲しいと思っておられますし、娘さんもそのつもりで勉学に励んでおられます。
中国の医師だからといって、ひとくくりで決めつけることではないだろうと思います。

以上、私が疑問に思った記事内容について私の考えを述べさせていただきました。


私も中国における年齢であれば、すでに80歳となっています。
歯科技工を楽しめる人生から、そろそろ身を引くことを考えるときが来ていると思いはじめています。

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