流浪の歯科技工士・王譯平・・・老馬之智

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zoom RSS 日本語を話す仲間たち

<<   作成日時 : 2014/12/28 15:46   >>

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中国に住み始めてから、やがて7年の歳月が過ぎようとしています。
その間、日本からの訪問客があったとき以外は、日本語を話す機会はほとんどありませんでした。
北京市のMラボを振り出しに、東莞市のDラボ、長沙市のKラボ、そして再び北京市のLラボへと移動しながら、4ヶ所のラボで働いてきましたが、どのラボでも日本語は全く通じませんでした。
ラボでは、私のたどたどしい中国語で意思の疎通をはかりながら、また、中国の若い人たちの好意にも支えられながら、どうにか今日まで生きながらえてきたという思いがしています。

引越の際に手伝ってくれたLラボの若い人たちを自宅に招待し、家庭料理での食事会です。
中国では、一緒に食事をして酒を酌み交わすということが、人間関係を親密にするうえで非常に大切なことだと思われています。
黄色の矢印が私。

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私は1970年に28歳で歯科技工学校を卒業しましたが、それ以来、クラスプ義歯を製作した臨床経験が全くなく、学生レベルの知識と技術しか持ち合わせていません。
そのため、Lラボでも義歯部の指導には全く関わっていません。
あるとき、Lラボの社長から「義歯部の技術指導者を紹介してもらえないか」という依頼を受けましたので、「日本人で良ければ・・・」と伝えましたところ「もちろん」ということでした。

そこで、私が尊敬する友人の一人で、キャストパーシャルのプロ中のプロであるK氏から、以前、紹介いただいていた愛知県にお住まいのM氏に連絡をとることに致しました。
義歯部の技術顧問として、毎月2週間、技術指導をしていただくこと、また、M氏専任の日本語の通訳はLラボが手配することなども条件に含まれました。
M氏の条件とも一致して契約はとどこおりなく済み、すでに10月から指導に来ていただいています。

M氏の専任通訳として勤務することに決まった李江浜(リー・ジャンビン)君は、厦門の高校を卒業した後、日本の横浜歯科技工専門学校に留学しました。
今年の3月に卒業し、日本の歯科技工士の国家資格も取得しています。
日本語が非常に堪能な25歳の青年です。
彼のことは、今年7月に講演のために一時帰国した際に、横浜Cラボの社長であるK氏との話の中で知りました。
横浜Cラボではすでに李君の雇用を決定し、労働ビザの申請をされたそうです。
ところが、中国籍のために許可されないとのことで、李君は失意のうちに中国へ帰ったとのことでした。
語学留学期間を入れて約4年半の日本滞在だったそうですが、その間の学費や生活費は400万円を優に超えているでしょう。
日本円の400万円は中国元にすればその何倍もの価値がある金額です。
その後、横浜CラボのK氏からのメールで李君が厦門のラボで働いていることを知りました。
初任給1,800元(約3万5千円)で、保険料や食費を引かれると手取りは日本円で約2万円程度とのことでした。
中国のラボでは、技工学校卒業後の初任給は1,200元(2万3千円)程度ですから、1,800元の給料は日本留学経験を加味された給料なのかもしれません。

Lラボでは李君の通訳能力を評価し、給料は厦門におけるラボの約3倍に決定されたようです。
宿舎では、無料で個室が与えられ、社員食堂の食事も3食無料です。
今後は、李君の努力しだいで更に新たな良い縁を得て,良い機会を呼び寄せることになるのかもしれません。
“縁は異なもの、味なもの”という古い言葉がありますが、昔の人はよく言ったものだと思います。

私の自宅における水餃子による歓迎会です。
まず、前菜でいっとき酒を酌み交わして会話を楽しみながら、その後、温かい手作りの水餃子を食べます。
赤の矢印が李君、緑の矢印がM氏、白の矢印はLラボ社長のW氏です。
この日はW氏の43歳の誕生日でもありました。

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つい最近のことですが、義歯部の女性チームリーダーを通して「日本語の勉強をしたいので李君に指導して欲しい」という依頼がありました。
M氏の日本語による説明を自分たち自身で少しでも理解したいというのが、その理由でした。
参加者は2ヶ月間50元(約950円)の資料費用を払うことが決められました。
募集を開始したところ、義歯部からだけではなく他の部からも参加希望があり、最終的に35名もの希望者があったとのことです。
W社長の了解も得て週2回、業務終了後の午後7時から約1時間半の時間を使って日本語教室が始まることになりました。
私はこの日本語教室にはタッチしていませんが、M氏は李君のアドバイザーとして参加されています。

李君とM氏の授業風景です。
そのうちに、Lラボ内で日本語が行きかう風景が見られるときが来るかもしれません。

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Lラボの義歯部は3チームで構成されそれぞれにチームリーダーがいます。
M氏による義歯部の社内講演会が終了した後、花束が贈呈されたときの写真です。
白衣の男性がM氏、その右横のベージュの作業着の女性がキャストパーシャルのワックス部門のチームリーダーです。
M氏の話ですと、彼女の設計やワックスアップ技術は非常にレベルが高く、製作スピードも速く正直驚いているとのことです。
日本語教室の依頼に来たのも彼女で、非常に真面目な歯科技工士です。

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北京の日本大使館の近くに北京21世紀医院という病院があります。
患者さんの80〜90%は中国に住まれている日本人だということです。
まだ取引が始まったばかりですが、その歯科部門から数回、Lラボへ技工物の製作依頼がありました。
ジルコニアやe.maxによるクラウンなどです。
その歯科診療室には日本人歯科医師で50歳代のN先生が勤務されています。
N先生はSJCDの会員だそうで、山崎長郎先生や本多正明先生からのご指導を受けられた方というだけあり、支台歯形成も印象も素晴らしいものでした。
シェードチェック用の口腔内写真も鮮明で、1ケースのために色々な角度から撮影された10数枚の写真がメールで送られてきます。

N先生は月の内の20日間を中国で勤務され、残りの10日間は福岡にある自分の歯科医院で仕事をされているそうです。

N先生が一時帰国されて不在の際は、中国人女性歯科医師のK先生に連絡を行います。
このK先生は、日本の東北大学の歯学部に数年間留学されて博士号を取得されたというだけあって、流暢な日本語を話されます。
非常に丁寧な心優しい先生です。

一昨日、私の助手として約5年間付き添ってくれている侯晓雯(ホウ・シャオウェン)と一緒にN先生を訪ねました。
侯晓雯とは北京のMラボで知り合ったのですが、当時、彼女は歯科技工学校を卒業したばかりで19歳でした。
その当時の彼女の写真ですが、彼女のことは私のブログの下記ページにも紹介しています。
http://xiaolong1017.at.webry.info/201105/article_3.html

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一昨日、北京21世紀病院のロビーで撮影した侯晓雯の写真です。

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中国ラボでは、私自身が臨床ケースを製作することはほとんどありません。
また、中国のラボでは、技工物は分業で製作されています。
しかし、N先生のケースに限っては分業ルートには乗せずに、日本で行われている方法に従って、ほとんどの製作工程を彼女一人に担当させることにしています。
今回のN先生とのミーティングの目的は、過去に製作して納入した症例の問題点を指導していただくためです。

N先生には、このミーティングのために約2時間を割いていただきましたが、とても短く感じました。
侯晓雯が製作した技工物に対するN先生の批評は的確なものでした。
口腔内にセットされたポーセレンクラウンの写真を見ますと、私の指導が至らず、その形態や色調は理想からはほど遠いもので、N先生と患者さんに対して申し訳なく思ったものです。

最後にN先生が侯晓雯に言われたことは、
「適合が非常に良く、全く修正の必要がなかった」
「隣接面や咬合の修正も僅かで済んだ。中国でこれだけのものが出来るとは思っていなかった。」
「勉強して少しでも良いものを作ろうという気持ちを忘れなければ技術は必ず良くなる」
「少々の問題点については私も気にしていないので、これからも頑張れ」
でした。

侯晓雯は日本語を勉強し始めたばかりで、N先生の言葉を直に理解できませんが、わたしの拙い通訳を通してN先生の言葉に感激し、頭を何度も下げながら目を潤ませていたのが印象的でした。


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最後までお読みいただきありがとうございました。
これが今年最後の皆さまへのご報告となります。
皆さまもご家族お揃いで、どうか良い年をお迎えになりますよう、北京の地よりお祈りいたしております。




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コメント(3件)

内 容 ニックネーム/日時
お久しぶりに先生のブログを参りました。
いろいろ良い事見ますと、嬉しい、実は羨ましいと感じ。
私は今東京に留学中ですが、まだ口腔の事も気になって、
先生のブログを見ると勉強できます。
ありがとうございます。
kokoha
2015/06/05 12:21
kokohaさんへ

コメントありがとうございました。
東京に留学中とのことですが、やはりCAD/CAM関係のお仕事は続けておられるのでしょうか?
中国のラボでは、大きなラボはもちろん、中小のラボでもCAD/CAM無しでは立ち行かなくなっているようです。
日本の場合はワンマンラボや小規模ラボが70〜80%を占めるといわれますので、私の経験からも、そのようなラボはCAD/CAMの導入は容易ではないと思われます。
将来は、小規模ラボをまとめたサークルが組織されて国内の大規模ラボのCAD/CAM設備を利用するとか、あるいは、中国の先進CAD/CAM設備を備えたラボと技術提携するなど、なんらかの変化の時が来るのも近いのではないかと想像しています。
CAD/CAMに関する技術は、歯科技工分野に限らず、どの分野においても必要な技術だと思いますので、慣れない他国での留学でしょうが、どうか頑張ってください。
王譯平
2015/06/05 14:45
王先生へ

返信ありがとうございます。先生話した事を勉強になりまりました。
今勉強するのはcadcamと関係なくて美学芸術と関係があります。今後は歯科美学と組み合わせたいと考えています。難しいですけどコツコツと頑張りたい。
kokoha
2015/06/11 19:10

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