歯科技工物の輸入代行会社から退職予定の友人へ


メール拝見しました。
いつかはとは思っていましたが、やはり退職を決意されたのですね。
淋しくなります。
将来、どのような会社であれ、あなたには、できれば歯科の業界にこれからも残って欲しいと考えています。

あなたが退職されることについては、社長もさぞ残念に思われていることでしょう。
社長のお気持ちがわかるような気がします。
でもこのことは、あなたが考えに考えて決められたことですので、その決断に間違いはないと思います。

私の個人的な考えですが、貴社の主な業務内容であるソフトレジンによる中国製可撤性義歯の輸入代行は、すでに時代の流れから遅れつつあるように思います。

また、日本と中国との関係悪化や円安、それに、中国製義歯が癌を誘発する原因になるという内容の本が出版されているとすれば、多くの人達から誤解され、貴社にとっても何らかの影響も生じるでしょう。
http://pene.at.webry.info/201309/article_5.html
義歯と言えば、日本人歯科医師や歯科技工士は総義歯やクラスプを伴った可撤性義歯を頭に浮かべ、固定性の義歯は、一般に、クラウン・ブリッジと呼ばれているからです。

確かに、ニッケルクローム合金を使用した中国製クラウンからは、何年か前に、ベリリウムという発癌性物質が検出されて問題になったことがありました。
しかし、貴社で扱われているようなソフトレジンによる中国製の可撤性義歯から、そのような人体に害を及ぼす発癌性物質が検出されたということは、私はまだ聞いたことはありません。
もし、その本に書かれているような問題が義歯にあるとすれば、日本で使用されている歯科材料も含めて再チェックされる必要があるかもしれませんね。

ところで、私が知る範囲のことではありますが、技術レベルが高い中国のラボでは硬質レジンによるクラウン・ブリッジはほとんど製作されていませんし、メタルボンドでさえ、過去のものになりつつあるようです。
CAD/CAMをいかに使って、ジルコニアによる技術レベルが高い歯科技工物をいかに安価でつくるかが、これからの中国ラボにも求められつつあるように思います。
ラボの規模が大きく、資金に余裕がある中国だからこそできることではありますが、インプラントとジルコニアによる歯科技工物が主流となる時代がまもなく来るように思います。
そして、中国における歯科医療の向上に伴い、歯科技工物が単なる大量生産による工場製品ではなく、歯科医療にかかわる重要な修復物であるという考えで製作しているラボが生き残っていけるのではないかと考えています。

正直言って、日本における歯科技工物の一般的なレベルは非常に低いと思います。
製作された歯科技工物の品質は良いのでしょうが、一般的なラボで製作されている歯科技工物は、その種類や内容、価格の点において後進国並みのように思われます。
私が技工専門学校を卒業した1970年頃と何ら変わっていませんので・・・。
日本では、歯科技工士の技術や素質は優れているのに、環境が整っていないために残念なことだと思います。
中国の事情を知らない歯科医師や歯科技工士の人達にとっては、日本の歯科技工が中国よりもすでに遅れつつあるとは考えられないことでしょうが・・・。
中国の事情に熟知されているあなたにだから私も言えることですが・・・。

では、あなたも過去のことは過去のこととして、将来に向かって考えを切り替え、どうか頑張ってください。
私も中国ラボで色々なことに挑戦しながら、これからも頑張るつもりでいます。

画像


長沙市のKラボでも使用されている日本製R社のジルコニア用切削加工機です。
私がこの機種の試作品を名古屋市のN社で初めて見せてもらったのは、2011年2月中旬頃でした。
中国では、すでに500台以上が販売されたと言われます。


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この記事へのコメント

としじい
2013年09月28日 11:27
ご隠居さんへ
その本、タイトルと内容は全然違うのですよ(^_^)b。中国へ出向いて、しっかり取材してます。ご隠居が言いたいことがそのまま書いてあると思います。
DWX-50、500台ですか売れてますね。日本もいよいよオープン化です。
王譯平
2013年09月28日 14:22
としじいさんへ

コメントありがとうございました。
北京のラボに勤務していた時に、私もこの方から取材を受けました。
その際、「日本の歯科界はすでにガラバコス化している」と嘆かれていましたので、「どんなところがですか?」と馬鹿な質問をした記憶があります。

日本もいよいよCAD/CAMがオープン化されるのですね。
CAD/CAMがどんなに普及しても、歯科技工士が不要になるということはありませんので、作業の効率化を図るうえでとても良いことだと思います。
T.H
2014年11月29日 13:48
中国で電子部品関係の加工貿易の仕事をしている会社員です。
15年くらい前は私も歯科技工士として働きニュージーランドでも歯科技工士として働いてました。
前からですが、中国の歯科技工も興味がありインターネットで調べていたらこのサイトにたどり着きました。
中国も歯科技工の技術が進んでいるところは進んでいるのですね

私の取引先は中国の広州周辺ですが、この華南地区も結構歯科技工所があるみたいですね
王譯平
2014年11月29日 16:33
T.Hさんへ
コメントをいただきありがとうございました。
日本では、中国製技工物をひとくくりにして、日本製技工物よりも質が悪いものだと決めつけられ、中国ラボを見下す方も一部にはいらっしゃいます。
確かに、中国でも歯科技工物の質に関してはラボのレベルによってピンからキリまでありますが、それはどこの国にでも言えることです。
中国では、日本のように患者さんの補綴物に関する保険制度がありませんので、すべて自費負担となっています。
そのため中国ラボでは、クラウンブリッジはポーセレンによるものがほとんどですし、有床義歯にしてもキャストプレート義歯が当たり前のように製作されています。
日本の保険に収載されている内容の技工物が製作されることは、少なくとも私が勤務してきたラボではほとんどありません。
また、CAD/CAMに関する技術は中国ラボのほうがむしろ進んでいるのではないかとさえ思えます。 
中国のラボや中国製技工物を見下す一方で、日本国内における歯科技工士や小規模ラボへの対応にもこまねき、効果的な施策がなされていないのだとすれば、日本の歯科技工界はやがて自滅の道を歩くのではないかとさえ思われます。  

T.H
2014年12月02日 09:32
早速のご返信ありがとうございます。
私の会社関連の知人を通じて、次回出張時に広州付近の歯科技工所等に見学にいこうと思ってます。
上海とかに行きたいのですが、私の今の仕事は華南地区中心で働いていますので・・・。

CG社の”中国における日本式歯科技工サービス・・・”の内容を見るとかなり大きな歯科技工所があるようですね。
かなり興味深いです。

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